2017-01-19

イギリスのEU脱退で追い込まれたのはイギリスではない?


2017年1月17日、いよいよイギリスのテリーザ・メイ首相がEU離脱に関して明確に脱退することを表明した。

イギリスは、2016年6月23日に国民投票の結果、マスコミの意志とは逆に「EU脱退」が確定して、キャメロン首相の辞任にまでつながるという波乱を迎えていた。

これを受けて、テリーザ・メイ首相がEU離脱を実行する首相として選ばれたのだが、メイ首相自身は「移民は入れないが、EU市場には残りたい」という方向で交渉していた。

しかし、EU(欧州連合)の基本方針は「ヒト・モノ・カネ」に制限を付けないというものであり、この理念の元に運営が為されている。

イギリスが「人(移民・難民)は要らないが、市場だけは要る」と言っても、EU諸国が認めないのは明らかだった。メイ首相はドイツのメルケル首相にも「離脱するなら、完全に、迅速に離脱せよ」と突き放されている。

メイ首相が国民投票の結果を受けてすぐに「EU離脱だ」と動かず、半年あまりもどっちつかずでフラフラして「何も決めないメイビー(たぶん)首相」と揶揄されていたのは、EUを離脱すると、イギリス経済が最悪の状況になることが予測されているからである。


「イギリスに来る人たちの数をコントロールする」


現に外国為替市場ではポンドが対ドルに対して1ポンド1.20ドルを割る展開にまで落ち込んでいる。

リーマンショック時でも1.4ドルで持ち堪えていたポンドは、2016年のEU離脱が決まった瞬間、あっさりとそれを割り込んでポンドはその価値を急速に減退させている。

通常、その国で通貨安が続けば「貿易で有利になるのだから、それを背景に投資が増えるのではないか」と考える投資家もいるかもしれない。

しかし、今回のイギリスはそれに当てはまらない可能性が高いとも言われている。

なぜなら、イギリスはEU離脱をしたがためにEUという市場に今まで通りアクセスできなくなるからだ。通貨安を活かす市場から締め出されるのだから通貨安が意味をなくす。

まして、イギリスは金融立国として成り立っていたのだが、EUから離脱することによって、EU市場に投資する自由すらも失っている。イギリスは自らの強みを失ってしまった状態にある。

こうした不安定な国と化したイギリスに積極的に投資したいという人間は通常はいない。

そのため、イギリスには投資資金が「集まる」のではなく、逆に「逃げていく」現象が起きる。ドル高ポンド安は、まさに投資家が逃げている姿を現しているものである。

しかし、面白いことがある。多くのイギリス人は、それでもメイ首相に「早くEU離脱手続きを進めよ」と圧力をかけており、ふらつくメイ首相に「単一市場のメンバーで居続けることは不可能だ」と言わしめていることだ。

イギリス人は、EU離脱によって当面イギリス経済は悪化することは受け入れている。それでも、イギリス国民は政府にやって欲しいことがあったのだ。

これについてはメイ首相自身が自分の言葉でこのように述べている。

「EU離脱を問う国民投票の結果から、国民のメッセージは明確です。ブレグジットするということは、ヨーロッパからイギリスに来る人たちの数をコントロールしなければならないのです。約束は果たします」

国内の移民・難民リスクは看過できないものだった


「もうこれ以上、移民・難民をイギリスに入れるな」

これが、イギリス国民の偽らざる心境であった。イギリス国民がEU離脱を選んだのもまたこの一点にある。「無制限に移民・難民を入れて、これ以上イギリスの文化を破壊するな」とイギリス人は政府に突き上げたのだ。

これはイギリス人が「経済的優位よりも望むもの」だったのである。

イギリス人は移民リスクをこれ以上看過できない現象として見ている。

イギリスでは2010年には移民が激しい焼き打ち暴動を引き起こし、その後も移民・難民たちによる強盗やレイプが多発していた。

しかも、リベラル系マスコミはこうした移民・難民の犯罪を隠蔽し、それを指摘する人間を「レイシスト」と決めつけて糾弾するようなことをしていた。

さらに移民が占拠したロンドンでは移民が白人を追い出して地域を占拠するような動きも広がって、しかもそこからISISに共鳴する人物がシリアに渡ったりしていた。

ISISの処刑人である「ジハーディ・ジョン」も、ロンドン訛りを話すクウェート出身のイギリス人であったが、こうしたテロリストまでもが堂々とイギリス国籍を取り、イギリスを拠点にしてテロ・ネットワークを作っていたのである。

さらに、「セックスのジハード」「ジハードの花嫁」と言って、こうしたISISのテロリストにセックスを提供する目的で、洗脳された女性がイギリスからシリアに渡るような動きすらも起きていた。(セックスのジハード。深く心酔すると、暴走して止まらない

誰が洗脳していたのか。

アンジェム・チョウダリーのようなイギリス国内のモスクを拠点にしているイスラム聖職者である。

この男は数千人規模でイギリスのイスラム教徒をテロリストに仕立て上げていた。(暴力の時代。イスラム過激派はやがて欧米をテロの渦にする

しかも、こうしたイギリス国内に巣食うイスラム系移民が数を増やすようになり、今ではパキスタン系のイスラム教徒サディック・カーンが市長に選ばれるという逆転現象まで起きるようになったのである。

本当に追い込まれているのは、実はEUの方だった


イギリスは移民・難民に乗っ取られた。

際限のない移民と難民の流入によってイギリス文化は破壊され続けていき、にも関わらずそれを指摘すると「レイシスト」呼ばわりされるので何も言えないような社会状況になった。

移民・難民を積極的に受け入れるべきというEUに対しても、移民・難民の犯罪を報道しないリベラル系のマスコミに対しても、イギリス国民は「我慢の限界」に達していた。

経済が悪化しても構わないから、手が打てるうちに移民リスクに手を打ちたいとイギリス人は願った。それが「ヒトを無制限に受け入れる」ことを強制するEUからの離脱につながっていったのだ。

そして、イギリスがEU離脱を選んだことによって、危機に瀕しているのは、実はEUの側である。将来に対する危機感は、イギリスよりもむしろEU側の方が強い。

これはメイ首相の持つ「今後の危機感」はイギリスよりもEUの方に向けられているのを見ても明らかだ。

「はっきり言わせてもらいます。EUの解体は起こってほしくありません。イギリスの利益に適いません。EUの成功は、今もなお間違いなくイギリスの国益となるのです」

イギリスの首相が「EUから離脱する」と宣言したこの日、離脱したイギリス側の首相が、自分の国の行く末よりも自分が切り捨てたEUの将来を憂いているのだから、いかにEUが薄氷の上に立っているのか分かろうものだ。

移民・難民を大量に受け入れたドイツのメルケル首相も支持を失って動揺しており、フランスもオランダも移民・難民に融和的な政党が見捨てられつつある。

アメリカの次期大統領であるドナルド・トランプも、「移民・難民を大量に受け入れるEUみたいなものは壊滅すればいい」と冷笑している。

2017年1月17日、「EUを離脱する」と宣言したイギリスのメイ首相の演説によって、経済的にはイギリスが正念場に立たされることになったが、その裏でEUは存続の危機に陥ったと見るのが正しい。

本当に追い込まれているのは、実はEUの方だったのである。



2017年1月17日、「EUを離脱する」と宣言したイギリスのメイ首相の演説によって、経済的にはイギリスが正念場に立たされることになったが、その裏でEUは存続の危機に陥ったと見るのが正しい。


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