2017-02-02

イスラム系難民を入国規制をしてもテロが防げない理由とは


超過激暴力集団である「イスラム国(ISIS)」は2014年から見るとかなり弱体化しつつあるのだが、未だにシリア・イラク一帯の広域な地域で組織は生き残っている。

この暴力組織は世界中のイスラム教徒の若者たちを惹きつけ、さらに現地のイスラム武装組織が次々と支持を表明する形でネットワークを拡大している。

ドナルド・トランプ政権がこうした国々のうち、シリア、イラク、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンの7ヶ国に限って難民受け入れ拒否をしたのは、危険なテロリストをアメリカに流入させないためでもあった。

しかし、この7ヶ国以外の国にはISISに共鳴する危険なテロリストがいないのかと言えばそうではない。

イスラム教徒が存在する国の多くは、ISISに共鳴する人間が一定数いると言っても過言ではない。

ISISの影響力は、今やアフガニスタンからパキスタン、バングラデシュにまで浸透している。バングラデシュでは2016年7月1日に日本人が複数名惨殺された事件もあった。(日本人を巻き込んだバングラデシュのイスラム過激派テロ


批判されると、自分たちの影響力の強さに酔う


東南アジアでも、フィリピンやインドネシアにISISに共鳴する過激組織が存在する。

イスラムには国をまたいで協調するウンマ(イスラム共同体)という考え方があるが、これによって暴力のネットワークが生まれているのである。

また、イスラム過激組織が存在しない国でも、それぞれの国の一匹狼がイスラム国の暴力思想に鼓舞されて、暴力事件を引き起こしている。

EUで起きている数々のテロ事件は、ISISの暴力思想に共鳴した一匹狼たちが起こしたものである。

このISISは「イスラム」と名乗っていても、その実は過激な犯罪組織であることは誰でも知っている。戦争、略奪、虐殺、レイプ。何でもありの過激暴力集団だ。

しかし、アブバクル・バグダディは自分がカリフ(ムハンマドの後継者)であることを宣言し、この暴力にカリフの国を拡大させる「聖戦」という大義名分が与えた。

超暴力は、聖戦という名によって正当化されたのだ。

時代のシンボルと化したものは、それが何であっても多くの人々を引き寄せる強力な磁石のような影響力を持つ。実際、ISISもまたそうなった。

超暴力であればあるほど世界がISISに恐怖し、話題にする。そして、それによって、さらに多くの人を逆に惹きつける役割を果たす。

ISISという存在は、今や「パブリック・エネミー(公衆の敵)」のシンボル的な存在だ。

しかし、ISISを批判する人間は、ISIS内部の人間から見ると「打ち倒すべき敵」となる。だから、全世界が批判すればするほど彼らは逆に自分たちの影響力の強さに酔い、新たな敵を打破しにいく。

彼らの向かうところは、殺人と略奪とレイプが横行する。敵と認定したものは何をやってもいい。それが、この反逆者集団のルールである。

なぜISISの過激暴力思想に染まっていくのか?


だから、世界中から多くのイスラム教徒の若者を、ISISはこれからも惹きつけ続けることになる。

ISISの殺し屋「ジハーティー・ジョン」はイギリスからシリアに渡ったイギリス出身の人間だったが、先進国からも続々と殺戮に惹かれてISISに向かっているのだ。

イギリス国民が2016年にEU脱退を決めたのは大量の移民・難民の流入を危惧したからだ。その裏にはISISの人間が難民としてイギリスに潜り込んでテロを引き起こす可能性が高いという共通認識があった。

EUに流れ込んでいる難民の中には、相当数のテロリストがいるのはマスコミがクローズアップしないだけで、現実問題として誰もが知っていることだったのだ。

こうしたテロリストは自分でテロを起こす以外に、潜り込んだ現地でまわりの人間を次々と過激暴力思想に洗脳していく役割も果たしている。

実際、こうした洗脳によってISISの兵士はリクルートされているのである。女性でさえも洗脳されて「セックスのジハード」としてシリアに渡るほどだ。(暴力組織に心酔して関わったら、もうそこから抜け出せない

では、いったいなぜ欧米のイスラム教徒の若者たちがISISの過激思想になびいていくのか。

実は、ここに深刻な問題が潜んでいる。

それは、「貧困」と「差別」である。EU諸国はイスラム系移民をも大量に受け入れたが、彼らはEUに来たからと言って無条件で成功できるわけではない。

彼らはEUのそれぞれの国で教育を受けて育つのだが、社会に出ると自分たちが決して主流ではなく、差別を受け、仕事も低賃金のものしかない現実に打ちひしがれる。

そのため、彼らの多くは国内で貧困を余儀なくされ、将来の展望も描けない。

もちろん、移民の全員がそうだというわけではない。

2016年にイギリスのロンドン市長にまで上り詰めたサディク・カーン氏のような一部のイスラム系移民は、逆境をくぐり抜けて成功をつかんでいく。

しかし、それはあくまでも一部である。

その暴動の最先端にいたのは常に低所得層だった


大部分のイスラム移民はEUの中で貧困街で暮らし、貧困街から抜け出せない。

2015年1月7日、パリで「シャルリー・エブド」を襲撃したサイド・クアシ、シェリフ・クアシの兄弟もそんなイスラム移民の典型だった。

彼らはアルジェリア生まれの両親の元で、フランスで生まれ育った兄弟だが、共に貧しく、パリでは宅配ピザや、スポーツジムでアルバイトをしながら、細々と暮らしていた。

彼らはドラッグやセックスに溺れ、チンピラまがいの生き方をしていたが、貧困から抜け出せず、自己実現もできず、鬱屈とした閉塞感を感じていた。

だから、ISISの過激な暴力思想が彼らの心を捉えたのである。貧困で鬱々とする生活をぶち壊すための大義名分がそこにはあった。

フランスでは2005年に巨大な暴動が18日ほど続いた時があったが、この暴動も事件が起きたのは貧困層のスラム地区であり、放火・略奪を引き起こし、フランス全土に騒乱を煽動したのが貧困層の移民たちであった。

この当時、移民人口の失業率は40%を超えていて、差別と偏見と貧困でフランスの移民社会で猛烈な不満がマグマのように溜まっていた。

イギリスでも2011年に全国規模で暴動が起きた。逮捕者は2000人を超える大規模なもので、略奪と放火が起きて街がめちゃくちゃになった。

イギリスもしばしばこういった暴動が起きているが、その暴動の最先端にいたのは常に低所得層であった。

結局、大量の移民を国内に引き入れた欧州は、多文化共生という移民政策に失敗しており、それが積もり積もって巨大な暴力を引き起こす原因ともなっている。

そう考えると、過激な暴力思想が蔓延する要因として、「貧困」は無視できないものであることが分かるはずだ。貧困と閉塞感は、社会の底辺で静かに怒りを沈殿させていき、それは何らかの形でいつか噴き出すのである。

ドナルド・トランプ政権は7ヶ国の難民の入国規制をして、テロリストが国内でテロを引き起こさないように手を打った。

しかし、イスラム系の移民が過激な暴力思想に引き寄せられるのは、貧困と閉塞感が根底にあるからだ。とすれば、本当の意味でテロ対策をするのであれば、「貧困の解決」が重要であるというのが分かるはずだ。

世界的な貧困の解決が、続出するテロの対策なのだ。これに気付かないと、テロは防止することは絶対にできない。



イスラム系の移民が過激な暴力思想に引き寄せられるのは、貧困と閉塞感が根底にあるのだから、本当の意味でテロ対策をするのであれば、「貧困の解決」が重要であるというのが分かるはずだ。


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