2017-03-07

金が貯まらないのであれば、働き続けることが唯一の選択肢


すでに超絶的な格差社会になっているので、一般人はもはや上の上を見ても仕方がない。

フォーブスに載る富裕層のランキングは、億を超えて兆の単位にまで到達しているのだが、普通の人は資産が兆の単位に到達することはない。

給料所得だけで兆単位の資産を築ける人は皆無だし、実業家であってもやはり兆単位の資産を築ける人は72億人の人口でも10人に満たない。

一方で、年間所得370ドル(約4万円)以下の絶対貧困と呼ばれる人たちも世界中で12億人以上も存在する。圧倒的な貧困状態で、その日の食事すらも事欠く層である。

彼らの少なからずは食ばかりでなく住居さえもない状態で、路上で寝て、物乞いのような仕事をして生計を立てている。格差の下を見ればどこまでもどん底の人たちがいて、その貧困地獄は際限がない。

日本は極度の富裕層も極度の貧困層も「まだ」存在しないのだが、その日本でも格差が広がっているのだから、長い時間をかけてその両方が出現する社会と化すだろう。

そして、「どうしたらいいのか」と、多くの人たちは不安に押し潰されそうになっている。


日本人の3分の1は「貯金ゼロ」の状態に


貯蓄広報中央委員会が2015年11月5日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)の結果が衝撃を与えたことがあった。

その調査では「金融資産を持っていない」と答えた世帯が、全体の30.9%に及んでいた。分かりやすい言い方をすると、日本人の3分の1は「貯金ゼロ」の状態になっていた。

金融資産というのは、株式や投信だけでなく、預貯金、生命保険、個人年金のすべてを含むので、「金融資産を持っていない」というのは、要するに「何も持っていない」と言っているのと同じである。

さらに日本は3186万人が65歳以上の高齢層であり、人口に占める割合は25%となっている。彼らが貯金を取り崩して生活するようになった。

日本人の寿命は80歳前後であると考えると、彼らの貯金はどんどんゼロに向かっていく。

それを裏付けるように貯蓄率も激減し、2013年からいよいよマイナスに入り込んでいる。日本国債の担保である国民資産は今後は消えていく。

最近は非正規雇用の蔓延で職や給料の不安定化が常態化し、「65歳までに1000万円の貯金があれば貯められた方だ」と言われるようになってきている。

仮に運良く1000万円が貯められて、月6万円を取り崩しながら生活するとなると年72万円なので、1000万円の貯金はたった13年で無に帰すことになる。

1000万円くらいでは老後はまったく安泰ではない。

この貧困化の流れは着実に日本全土を覆い尽くしていく。だから人々は、どうすればいいのかと答えを求め、何が何でも貯金をしなければと焦燥感に駆られていく。

しかし、日本人の3分の1は「貯金ゼロ」なのだから、その1000万円を貯めるにも容易なことではないことが状況を見れば分かるはずだ。

1000万円を貯めるのに、どれくらいの年月が必要か


「65歳までに1000万円の貯金があれば貯められた方だ」と言われるようになっているのは、2015年の「家計の金融行動に関する世論調査」で、金融資産保有額の平均が1209万円だったことからも分かる。

しかし、非正規雇用の人たち、低賃金の仕事に就いている人たち、年々賃金が下がる傾向にある人たちにとって1000万円を貯めるというのは容易なことではない。

容易なことではないが、何もしないわけにはいかないので、着実に貯蓄して1000万円の貯金に向かうとすれば、どれくらいの歳月が必要なのだろうか。

それを計算すると、とても残酷な事実が浮かび上がる。

仮にまったく生活に余裕がなくて月1万円の貯金でも精一杯であるとする。この人は月1万円で貯金を初めて1000万円を貯めるには、どれくらいの年月が必要なのか。

それは約83年である。

仮に20歳で1000万円を目指して月1万円の貯金を開始したとしても、それが貯まるのは103歳までかかるということだ。人間の寿命を考えると、月1万円の貯金で1000万円を見るのは不可能であると言える。

では、月2万円ではどうなのか。月2万円では、1000万円到達するのに42年かかる。

20歳で月2万円を堅実に貯めていくと、ちょうど自分が高齢層に入る頃は1000万円が実現できている。もちろん、何があっても貯金を継続するという強い鉄の意志が必要だが、絶対に不可能というわけではない。

それができた人が「65歳までに1000万円」に到達しているということになる。

月3万円が貯金できる人は28年で1000万円に到達する。月4万円貯金できる人は21年で1000万円に到達する。

不安定な労働環境や低賃金の状況の中で、月に4万円も貯金できる人がいたら大したものだ。そんな人は、なかなか見当たらないかもしれない。

そもそも、月2万円という無理のない貯金であっても、リストラや長い無職期間があればもう頓挫する。

何も持たないのだから、基本を忠実になぞる


多くの人が1000万円に到達しないのは、ある程度の金額が貯まれば緊張の糸が切れて途中で貯金を下ろしてしまったり、あるいはどうしようもない不可抗力で降ろさざるを得ない状況に追い込まれたりするからだ。

そんなわけで、高齢者と呼ばれる65歳に到達した時に1000万円に到達していない人が増え、仮に1000万円に到達しても、80歳まではとても足らず、日本人がどんどん貧困化していくような社会が到来した。

これが自然に解消すると思ってはいけない。

日本は少子化問題も高齢化問題も放置し続けてきた。それによって社会のダイナミズムが失われても、誰も強く問題意識を感じなかった。

さらに人口減の社会になっても「日本人の人口は多すぎる」みたいな愚かな発言をしている無責任な人間も多い。人口減で何が起きるのかまったく分かっていないことに戦慄する。

日本人が日本の問題点をきちんと修正できない以上、突如として日本が成長気運に入って格差も是正する社会が来るなど夢のまた夢である。

とすれば、どうすればいいのか。社会を責め、政治家を責め、境遇を責めても自分の問題は解決しない。

このような社会を生きぬくためには、貯金云々の前にもっと自覚しなければならないことがあるということになる。生き残るための基本に立ち返る必要がある。

単純なことだ。

「働き続ける」ことで生き残るしかない。何も持たない人間が唯一できる現実的な生き方は「働き続ける能力を持つ」ということである。

ただ「働く」のではない。「働き続ける」という能力が必要だ。倹約し、働く。貯金し、働き続ける。何も持たないのだから、基本に立ち返って生き残るしかない。

定年が来たから働かないというのは恵まれた時代の話であって、そうでなくなったのであれば、それこそ「働き続ける」ことが唯一の選択肢になる。衰退していく経済社会の中で豊かな老後など空想しても非現実的なだけだ。

どのみち弱肉強食の資本主義が人々をそこまで追い込んでいるのだから、これからは「死ぬまで働く」しか生き残る道がなくなる。

それなら最初から「働き続ける」覚悟を持った方がいい。

覚悟し、悪化していく社会に適応する人間が生き残れる。年金で悠々自適などもう忘れるべきだ。年金も貯金も消え去るのだから、最後に残るのは労働である。



定年が来たから働かないというのは、恵まれた時代の話であって、そうでなくなったのであれば、それこそ「働き続ける」ことが唯一の選択肢になる。貧困が蔓延する社会では珍しいことではない。


お願い

ダークネスTIGAの本文の全文転載は、いかなる理由があってもお断りします。
本文の舞台、参考になる写真がありましたら、提供いただければ嬉しく思います。感想やご意見も、お待ちしております。趣旨に合うものについては、積極的に反映していきたいと考えております。(メールはこちら