2017-04-07

トランプ流とは問題をすべて相手に押し付けて攻撃する手法


ドナルド・トランプ大統領は「親露派」だったはずだが、もう過去の話となった。トランプ大統領はあっさりとロシアを裏切り、今後はロシアと敵対する可能性が非常に高まった。

シリアのアサド大統領は2017年4月4日、市民に対して化学兵器サリンを使用したことが報道された。

これによって「いくつもの一線を超えた」とトランプ大統領は宣言し、2017年4月6日にはいきなり巡航ミサイル攻撃でシリアの空軍基地を破壊した。

ところで、アサド大統領がいつまで経っても倒れないのは、ロシアのバックアップが裏にあるからだ。

本来、アサド政権は2015年には崩壊しているはずだったが、ロシアがアサド政権の後ろ盾になったことで状況は一変し、現在アレッポはアサド政権が奪還して息を吹き返していた。

これはアサド政権を支援するロシア軍の市民の犠牲を厭わない空爆によって成し遂げられたものだった。ロシアはアサド政権を軸にして中東の利権を手に入れようとしている。

アメリカが空爆したシリアの基地は、ロシア軍もまた使用していたものだった。アメリカはここを攻撃して、一夜にして壊滅的ダメージを与えた。


利用できるものは利用し、用済みになれば捨てる


アメリカがアサド大統領の支配するシリア西部ホムス付近の軍事拠点を空爆するというのは、ロシアの利権を破壊するも同然だった。

つまり、トランプ大統領によるアサド政権の攻撃は、形を変えたロシアの攻撃も同然だった。

プーチン大統領はすぐさま「米国のシリア空軍基地に対するミサイル攻撃は国際法違反で、米ロ関係に深刻な悪影響を与える」という認識を示した。

そして、「これはアメリカによる侵略行為だ」と強くトランプ大統領を批判している。

プーチン大統領は、シリアの人たちの人権を懸念してアサド大統領に代わってトランプ大統領を批判しているわけではない。自分たちの利権を攻撃するトランプ大統領に対して「ロシアの利害を破壊するな」と批判しているのである。

しかし親露派と呼ばれていたはずのトランプ大統領は、いともあっさりとロシアと敵対する道を選び、何の躊躇もなくシリアを攻撃している。

これはオバマ政権が口でアサド大統領を批判するばかりで何もしなかったのとは真逆だ。

トランプ大統領は3月まで「シリアのことはシリア国民が決める」と何の関心も示していなかったのに、やると決めたら一瞬で行動に移している。プーチン大統領に対しては、まったく何の配慮もない。

ここにトランプ大統領の性格が表れている。

ヒラリー・クリントンを激しく嫌ってトランプの方が御しやすいと考えていたプーチン大統領は、ヒラリー攻撃のフェイクニュースを大量にアメリカに流し込んでトランプの勝利に貢献している。

トランプもそれに気付いており、自らの勝利のためにプーチン大統領のこの裏工作を歓迎していた。

しかし自分が大統領になると、もうプーチンは用済みだと言わんばかりに手のひらを返しているのである。利用できるものは利用し、用済みになれば捨てる。

これは、トランプ大統領がビジネスマン時代でもやってきた行為でもある。

都合が良いときは絶賛、期待を裏切ると罵倒の嵐


トランプ大統領はビジネスマン時代に4度も破産して、そのたびにのし上がってきたというのがアメリカでは「美談」扱いにされている。

事業というのは当たり外れ、運不運、そして人材の良し悪しのすべてが絡んでくる。起業は千三つと言って、1000の事業で1つ当たれば上出来と言われる不安定極まりない世界である。

だから、起業家は成功するまで失敗を繰り返し続けるわけで、3度4度の事業失敗くらいでめげる精神力では起業家としての才能はない。

ドナルド・トランプは親から引き継いだ不動産業以外にカジノ運営、ステーキ屋、大学……と多くの事業を立ち上げて、その数は10以上にのぼると言われているが、実はそのことごとくが失敗している。

これについて、ドナルド・トランプは面白いことに、自分の失敗とは認めていない。「任せた担当者に能力がなかった」とすべて担当者の責任にしている。

しかし、その担当者を迎えるときは「この分野に精通した専門家であり、力強い味方だ」と褒め称え、「一緒にやっていけることを歓迎している」と手放しで喜んでいたのである。

成功すれば自分の実績として名を売る。ところが、事業で成果を出せないことを知ると、すべて担当者の責任にして「無能だ、馬鹿だ、すべてはこいつのせいだ」と罵る。

自分の都合が良いときは絶賛するのだが、自分の期待に沿わなければ容赦なく手のひらを返して、激しく攻撃して追い出すのが「トランプ流ビジネス」だったのである。

これはもちろん、政治の世界にも持ち込まれた。

オバマ大統領と初対面したときも温厚にオバマと接して友好的な態度を示して相手を褒め称えていたが、自分の政策にオバマの政策が邪魔になると、一転してオバマ元大統領をめちゃくちゃにけなし、攻撃している。

今回のシリア攻撃も「オバマ大統領が何もしないからこうなったのだ」と再びオバマ大統領を批判している。

敵対する国は、ことごとく攻撃対象になっていく


プーチン大統領との関係でも、そんなトランプ大統領の性格が剥き出しになって表れているというのが興味深い。

都合の良いときは唯一無二の親友のように振る舞い、相手に共感を示し、包容力ある態度を見せるのだが、自分の都合の悪い存在になると、責任をすべて相手に押し付けて足蹴にする。

問題の根源は相手にあると、激しく相手をなじる。

こうした「トランプ流」が今、世界を動かしている。そして、ものの見事にハメられたのが、事もあろうかプーチン大統領だったとも言える。

プーチン大統領は老獪な政治家だが、ロシアとアメリカは常に対立関係にあるわけで、どのみち関係が決裂するのは目に見えていた。

しかし、ドナルド・トランプが大統領に就任してまだ数ヶ月も経っていないのに、いきなり関係が反転するというのはプーチン大統領も予測し得ないほどの豹変でもある。

自分と敵対しなければ褒め称えるが、敵対したら一瞬にして関係が崩壊する。相手の都合など配慮しない。

まさに今回のシリア攻撃でそれが現実となった。

このドナルド・トランプの危険な性格は、今後も外交関係で遺憾なく発揮されるのは確実である。これは、どんなに和やかな対談がトランプ大統領との間で行われても、まったく何の意味もないことを示している。

そして、今後のアメリカは「より凶暴なアメリカ」になることをも暗示している。

今回のシリア攻撃は「手始め」のものであり、今後もアメリカと敵対すると思われる国は、「トランプ流」によってことごとく攻撃対象になっていくはずだ。

世界中で戦火が上がる可能性が高まっている。

北朝鮮はどうなるのか。そして中国はどうなるのか。そして、日本はどうなるのか……。

アメリカと敵対したらどうなるのか、今回のシリア攻撃で世界は知ることになった。北朝鮮はシリアの現状をつぶさに見ているはずだ。



アメリカと敵対すると思われる国は、「トランプ流」によってことごとく攻撃対象になっていくはずだ。世界中で戦火が上がる可能性が高まっている。


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