2017-05-11

アメリカの中枢を政治家が握っているというのは大きな誤解


現代において最も重要なのは「情報」であると言われている。そして、その情報を担うのはインターネットである。

インターネットは全世界を結びつけており、すでに情報の世界ではグローバル化は達成されている。そして、そのインターネットの根幹を握っているのはアメリカ企業である。

アップルも、グーグルも、アマゾンも、マイクロソフトも、フェイスブックも、IBMも、オラクルも、すべてアメリカ企業である。情報の中核になる技術と革新はすべてアメリカが所有している。

インターネットがない世界はもう考えられないわけであり、それをアメリカが押さえているという意味は非常に重要だ。

さらに今後はAI(人工知能)の技術が急激に台頭し、世の中を変えていくことになるのだが、こうした技術もアメリカのハイテク企業が世界をリードしている。

また、石油という現代文明の血液も、エクソンモービルやシェブロンのようなアメリカの巨大企業が押さえている。さらに石油掘削の技術革新であるシェール企業も、アメリカの企業が技術革新を生み出している。

今後、サウジアラビアは「アラムコ」という世界最大の時価総額を持った企業を上場させるが、実はこのアラムコの石油掘削技術はやはりシェブロンのようなアメリカ企業が関わっているのはよく知られている。

アメリカの企業がなければ何もできないのだ。


アメリカの場合は政治家も多国籍企業の代理人だ


人類に欠かすことができない「クスリ」の分野ではどうなっているのか。

J&J、ファイザー、メルク、アボット・ラボラトリーと言った巨大な製薬企業はもちろんアメリカ企業である。これらの企業は凄まじい売上を上げ、成長し続けている。

今後はバイオも医療の中心に食い込んでいくが、そのバイオもアムジェンやギリアドやアラガンのようなアメリカの企業が突出している。

軍事ではどうか。もちろん、世界最大の軍事企業を抱えているのはアメリカである。

ロッキード、ボーイング、レイセオン、ノースロップ・グラマン、ユナイテッド・テクノロジーと、多くの企業が夥しい関連会社を配下に、世界最強の軍産複合体を作り上げている。

別に深く考える間もなく、現代の資本主義の中心はまぎれもなくアメリカである。

資本主義の中で重要なプレイヤーは政治家ではなく企業だ。アメリカの場合は政治家もまた企業経営に関わっており、早い話が多国籍企業の代理人だ。

ジョージ・ブッシュ元大統領がカーライル、ディック・チェイニー国防長官がハリバートン、コンドリーザ・ライス国務長官がシェブロンに関わっていたのはよく知られている。

オバマ大統領の資金はゴールドマン・サックス、シティ・グループ、JPモルガン・チェース等の金融資本であったことは有名だ。

その結果、2008年9月15日に引き起こされたリーマン・ショックでオバマ政権はFRBに前人未踏の金融緩和を実行させて金融資本を救済させた。

だから2008年9月以降に崩壊の危機にあったアメリカ金融業界は、2010年にもなるとまるで何事もなかったかのように復活を遂げていたのだ。

トランプ政権も多国籍企業の代理人が支配していた


金融資本と言えば、ジョセフ・バイデン副大統領もまた一族が「パラダイム・グローバル・アドバイザーズ」というファンド企業を経営している。

世の中の何がどう動くのか、大統領・副大統領は知っているわけだから、彼らを代理人にしている投資企業が抜け目なく動けるのは当然のことである。

アメリカ第一を掲げ、グローバル経済を否定しているように見えるドナルド・トランプの内閣はどうなのか。

ドナルド・トランプ大統領の娘であるイヴァンカ・トランプの夫はジャレッド・クシュナーだが、この男は自分の事業を立ち上げる前はゴールドマン・サックスに所属していた。

ゴールドマン・サックスと言えば、財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチンもゴールドマン・サックス、国家経済評議会議長であるゲイリー・コーンもやはりゴールドマン・サックスの出身だ。

大統領補佐官兼経済担当の上級顧問、ディナ・パウエルは何者だったのか。この人もまたゴールドマン・サックスの出身者である。

国務長官のレックス・ティラーソンはどうか。この男はエクソンモービルの元CEOである。

ゴールドマン・サックスもエクソンモービルも、グローバル経済を動かす金融・エネルギーの総本山だが、こうした企業の人間たちが、がっちりと食い込んでいるのだ。

トランプ政権もやはり、アメリカの巨大多国籍企業の人間が大量に潜り込んで政治を動かしているというのが分かる。

矢面に立っているのは政治家だが、政治家は多国籍企業の代理人となって動いているのだから、アメリカの「中枢」は政治にはない。多国籍企業にある。

アメリカの巨大多国籍企業はアメリカを乗っ取った


世界の資金はアメリカに集まっており、NYSE(ニューヨーク証券取引所)は世界最大の市場である。すでにアメリカの株式市場の指数はリーマン・ショックの大暴落を克服しており、2017年現在もさらに膨らみ続けている。

アメリカが衰退したと言う人もいるが、「アメリカ企業」という視点で見るとそれは事実ではない。

アメリカの衰退は「アメリカの政治」と「アメリカ人」を見る限り事実なのだが、「アメリカ企業」という視点から見るとまったく別の光景が見える。

衰退どころか、まだ恐ろしいほどの成長の余地がある。

アメリカの政治家が米国企業を利するために政治を行うのは、表側から見れば「アメリカの政治家が愛国者だから」ということになるが、裏側から見れば何のことはない「企業の代理人だからだ」ということになる。

このアメリカの多国籍企業がアメリカの政治家を自由自在に操ってグローバル化を推し進め、資本独占を目指していく。

「アメリカが衰退する」という言葉を私たちはこれからも聞き続けることになるが、「アメリカ」とは3つのパートがあることを忘れてはならない。

アメリカとひとことで言っても、そのアメリカは「アメリカ国家」と「アメリカ企業」と「アメリカ国民」の集合体である。これらすべてをまとめて私たちはアメリカと言っている。

かつて、「国家・企業・国民」は三位一体で切り離せないように思えた。しかし今は「企業」がひとつの独自生命体のようにいびつに成長し、もう三位一体ではなくなった。

アメリカ企業がグローバル化し、多国籍化したので、アメリカ企業の成長がアメリカ国家・国民の成長とは合致しなくなってしまったのだ。

アメリカの巨大企業は、アメリカという殻を抜け出して独自の生命体と化した。そのためにアメリカ企業は、アメリカの国家と国民から富を吸い取り、ひとりで膨れあがっている。

アメリカの巨大多国籍企業は、アメリカを乗っ取った。だから、アメリカ国家とアメリカ国民は痩せ細っていく一方だが、逆にアメリカ企業は肥え太っていく。



アメリカの巨大多国籍企業は、アメリカを乗っ取った。だから、アメリカ国家とアメリカ国民は痩せ細っていく一方だが、逆にアメリカ企業は肥え太っていく。


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