2017-06-23

HYIPは関わった人たちを次々と地獄に突き落としている


最近、HYIP(ハイプ)と呼ばれる高利回りの商品が出回っていて、これに学生や高齢者を中心に、次々と被害に遭って社会問題化しつつあることをWBS(ワールドビジネスサテライト)が取り上げている。

HYIPは「High Yield Investment Program」の頭文字を取ったもので、これを日本語に訳すと「高利回り投資案件」というものになる。

高利回りとはどれくらいの高利回りなのか。

HYIPには、それぞれの「案件」が用意されているのだが、ある案件では1日1%、またある案件は1日2%の配当が謳われている。中には1日9%の配当を謳うものもある。

仮に1日に1%の配当とすると、1ヶ月で30%の配当、1年で360%の配当ということになる。2%であれば、1ヶ月で60%、1年で720%の配当になる。

これがいかに途方もない狂気のような高利回りなのかは、少し計算すればすぐに分かる。1ヶ月で60%と言えば、そこに100万円を投資すれば1ヶ月で60万円になり、1年で720万円になる。

仮に1000万円を投資すると、2年もしないうちに1億円を優に超える配当が得られることになる。いかに常軌を逸しているか分かるはずだ。


最初から大金を振り込ませてから飛ぶ目的がある


ワールドビジネスサテライトでは、1日2%の投資案件に投資して金が戻らないと被害を訴えている30代の人の話を取り上げている。

この人が投資した「案件」というのは「ブラジルの投資会社でサッカーの勝敗を予想するギャンブルを運営」するD9という案件で、配当はビットコインで行うものだったという。

この会社に投資すれば、この会社が1日2%の配当を約束するとされていた。ところが、この会社はシステムトラブルを理由に金を支払わなくなった。それで「騙されたのではないか」と気付いたのだという。

もちろん、この人は騙されたのだ。

普通に考えて、1日2%の配当が約束されると考える方がおかしい。世界中の超優良企業でも、配当率は「年」2%から3%が普通である。

どこの国のものとも分からないうさん臭い事業をやっている企業が、「1日」に2%から3%の配当を出せる方がおかしい。そもそも、そんなに儲かる事業であれば、とっくの前に上場されているはずだ。

HYIPと一括りされている「案件」は、それぞれの案件によって事業内容も運営母体も運営国も違っている。そのほとんどは国外の案件になっていて、さらに多くは金の受け取りや配当のやりとりをビットコインで行う。

その意味は、「企業への問い合わせや照会を難解にして、銀行口座を差し押さえられないように暗号通貨にしている」とすぐに気付かなければならない。

「いくつかの案件はきちんと配当が入っている」という人もいるが、それも大金を釣るためのエサだ。

最初は配当をきちんと払って安心させておき、「もっと投資資金を増やしませんか」と募って、大金を振り込ませてから「飛ぶ」のである。「飛ぶ」というのは、会社を計画倒産するという意味である。

大金を集めて、持ち逃げする。

典型的な詐欺のスキームがそのまま使われている


HYIPについては、すでにいくつもの「案件」が飛んでいるのだが、それは別に不思議なことではない。HYIPも昔からよくある典型的な詐欺のスキームがそのまま使われているからである。

(1)高利回りを謳って話題を振りまく。
(2)契約者に新しい会員を紹介させる。
(3)大金が貯まると、計画倒産する。

この詐欺はポンジ・スキーム(ネズミ講)と呼ばれている。

今、大きな問題となりつつあるHYIPの仕組みをよく見ると、典型的なポンジ・スキームをビットコイン等の最新技術に絡めて行っているだけであるとすぐに分かる。

最初から「金を集めて持ち逃げする」のが目的なので、利回りの設定は信じられないほど適当だ。欲の皮が突っ張った投資家が釣れればいいので、それが1日1%だとか4%だとか9%という常軌を逸した数字になっている。

仮に、1日1%の「案件」に100万円を投資したら、1年で360万円儲かるということは、逆に言えば業者は100万円をもらって1年に360万円を支払うということである。

よく分からなかったら、自分が業者になったつもりで考えてみて欲しい。あなたが誰かから100万円を借りたら1年後に360万円を返さなければならないのだ。これほど不利な状況はないはずだ。

にも関わらずHYIPの案件に登場する企業は、嬉々としてその金利で金を集めるというのだから、気が狂っていると思わないだろうか。

しかし、最初から返すつもりはなくて「金を集めて持ち逃げする」のが目的だとしたら、この事業者の行動は完全に理解できるはずだ。

返すつもりがないのだから、利回りがいくらだろうが関係ない。とにかく大金が集まれば勝ちだ。HYIPでやっていることは、つまりはそういうことなのである。

事業もシステムも理解できていないのに金を出すな


すべての投資詐欺は、自分たちのやっていることが基本的に詐欺であることを見抜かれないために、様々な言い訳やシステム運営を研究している。

HYIPもその正体が投資詐欺であると見抜かれないように、独自用語を使い、ビットコイン等を取り入れたりして巧みに正体を隠している。

こうした詐欺は昔からずっと人々から金を騙し取ってきたが、今もこのような詐欺が相変わらず多くの人を巻き込んでいるということは、それだけ「楽して儲かりたい」と思っている人が大勢いるということの証でもある。

実際、HYIPも「投資すれば、後は放っておけば儲かる」と喧伝されている。

しかし常識がきちんと働けば、「ただ金を振り込むだけで1年で2倍にも3倍にもなって返ってくる」ような都合の良い話があるわけがないと気付くはずだ。

仮にそんな話があったとしても、それが自分のところに回ってくると考える方がどうかしている。

現代は資本主義社会なのだから、誰でも儲けたいという気持ちはあるはずだが、「楽して儲かりたい」という感情は、合理的ではないと気付くべきだ。

宝くじで当たるということすらも、その前に延々と外れ続ける運命が待っているわけで決して楽なことではない。

また高齢者の中には、HYIPの仕組み自体がよく分からないで投資していた人もいる。これも考えてみれば不思議なことだ。

自分が理解できないものに投資するというのは、自分が理解できないリスクを負うということである。

事業もシステムも理解できていないのに金を出すというのは、誰かの言いなりになるということであり、それを金融業界では「カモ」と呼ぶ。

カモになりたくなければ、常識を働かせて自分が理解できる確かなものに投資するべきだ。さもなければ、何もしないのが一番いい。



「楽して金を儲けたい」が地獄を呼ぶ。また、事業もシステムも理解できていないのに金を出すというのは、誰かの言いなりになるということであり、それを金融業界では「カモ」と呼ぶ。


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