2017-07-13

能力を「裏口」で調達すると、それが自分を滅ぼす元になる


どんな世界にしろ、能力を向上させるには対象に打ち込む真摯な姿勢が必要になる。

天才的な技能を持つ人たちは、尋常ではない集中力で物事に取り組んでおり、決して運や持って生まれた才能だけで能力を開花させているのではないことが分かっている。

遺伝的な才能にプラスして、凄まじいまでの取り組みが能力の土台を作り上げている。

こうしたことから、知能指数が高い低いよりも、どれだけ対象に時間をかけたかで成功できるかどうかが測れると主張するジャーナリストもいるくらいだ。

しかし、こうした長い期間に渡る下積みと鍛錬は、精神的にも肉体的にも非常にキツく厳しく苦しいものである。

人間は誰でもつらいことや面倒なことは避けたいと考える。いくら好きなことであっても長い時間をかけて延々と下積みをしたいと考える人は少ない。

あるいは、長い鍛錬をしてもスランプに陥り、どうしても能力を向上できないで焦りを感じる人もいる。自分自身に苛立ち、能力を発揮できないことに怒りすら感じるのである。

そして、どうするのか。一部の人は「裏口」を思いつく。


裏口から自分の能力にレバレッジをかけていく


努力、鍛錬、集中力、継続心。こうした地道な取り組みは単調で面白味がなく面倒臭いと思う人が大勢いる。

しかし世の中には、努力をしなくても自分の能力を向上させるものが存在する。「裏口」でレバレッジをかけるのだ。具体的にはどうするのか。

たとえばアスリートの一部は、身体能力をアップさせる様々なドーピング薬物に手を出す。確かにそれは、自分の能力を劇的に向上させてくれる凄まじい威力を持ったものだからだ。

ボディービル系のアスリートはアナボリック・ステロイドと縁が切れない。その理由は、日々の鍛錬だけでは手に入らないような想像を絶する筋肉が、確実に手に入るからである。

アナボリック・ステロイドには深刻な副作用もあるのだが、それでも多くのボディービルダーはステロイドを使って過大な筋肉を手に入れる。

レバレッジというのは、「テコの原理」を指す言葉である。人力では動かせない重い岩も、テコの原理を使えば簡単に動かせることから来ている。

人間の身体能力を向上させるには、さしずめある種の薬物は大きなレバレッジとなるのだ。まさにそれは、自分の能力を限界突破させてくれる「裏口」である。

オリンピック選手がドーピングまみれになっているのは、誰もが努力していないからではない。

努力しても相手がそれ以上に努力している可能性があるので、普通の努力ではどうしようもない超ハイレベルな段階にまで到達しているからである。

凄まじい努力をした上に、さらに高みに登るには違法でも何でもそれを使いたいと考えるのだ。そして、裏口から自分の能力にレバレッジをかけていく。

人々は無理をせざるを得ない環境に追い込まれる


疲労を消失させる違法な薬物もある。それが覚醒剤やコカインである。

覚醒剤が社会に蔓延するのは、それが快楽をもたらすというだけではなく、どんなに疲れていても瞬時に意識と肉体を「覚醒」させて元気を取り戻す作用があるからだ。

清原和博は覚醒剤に堕ちていったが、絶対に勝たなければならないアスリートだけでなく、疲れたと言ってられない状況にある労働者にも覚醒剤が蔓延する理由がここにある。

覚醒剤もまた身体能力を一時的に向上させてくれる「裏口」のレバレッジだったのである。

さすがに覚醒剤は違法なので躊躇する人は多くても、眠気覚ましに甘い物やカフェイン飲料を拒否する人はいないはずだ。

これらもソフトなドーピングであり、レバレッジである。

最近ではエナジードリンクが世界的に大流行しているが、こうしたものを一気飲みしないとやってられないという人も多いので、これらを供給する企業は大儲けしている。エナジードリンクの市場規模は約4兆円と言われている。

現代社会は時間で区切られた社会であり、人は誰でも決められた時間にパフォーマンスを見せなければならない。そのため、多くの人は何らかの薬剤でレバレッジをかけないとやってられないような社会になっている。

ただ、レバレッジで手に入れた能力は心身を次第に疲弊させていき、将来は深刻な副作用が待っている。ハードなレバレッジをかければ、副作用もハードになる。

ソフトなレバレッジであっても、それなりに身体はダメージを受ける。エナジードリンクを飲み過ぎて、痙攣しながら死んでいった若者は大勢いる。

ドーピングが禁止されるのは、そうやってレバレッジをかけて手に入れた能力はフェアではないということもあるのだが、将来の副作用が深刻で人生を転落させるからでもある。

しかし、社会が「高パフォーマンスを見せろ」と人々に要求するので、人々は無理をせざるを得ない環境に追い込まれており、自分をドーピングするためのドリンク飲料が4兆円の市場規模になっている。

能力を「裏口」で調達すると身を滅ぼすことになる


「レバレッジをかける」というのは身体能力だけの話ではなく、経済的な行為にも発生する。経済的にレバレッジをかけるというのはどういう意味か。

それは「他人資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めること」と説明されている。要するに、借金をして何かに投資することで見返りを極大化させるという行為を「レバレッジをかける」というのだ。

FX(為替証拠金)でも、借金のことをまさにレバレッジという。レバレッジをかければ、レバレッジ分の差額を利益として手に入れることができるのだが、見込みが外れると元手は一瞬で消失する。

株式でも信用取引で元手の3倍はレバレッジをかけられるが、見込みが外れてある金額を下回ったら、追証と言って元手(保証金)を追加投入しなければならない。

それが払えないと、強制決済された上にマイナスが解消できないと、その分は別途請求になる。自己資本以上の金、すなわち「裏口」で手に入れた金は、見込みが外れればあっという間に自分の首を絞めることになる。

どうして、そこまでレバレッジをかけて高いパフォーマンスを短期に求めようとするのか。

もちろん現代は資本主義の世界であり、莫大な資金があればそれがどんな手段で手に入れたものであれ、まわりから尊敬されるからである。

「高パフォーマンスを見せた」ことによって、尊敬を得られるのだから、レバレッジでも何でも使う人がいくらでも出てくるのである。

しかし、「裏口」で手に入れた分相応なレバレッジは、それが何にしろ副作用も強いという共通点があり、それに手を出した人たちを次々と破綻させていく。

現代社会はすべての人に「高パフォーマンスを見せろ」と人々に要求するのだが、能力を「裏口」で調達すると、それが自分を滅ぼす元になる。



現代社会はすべての人に「高パフォーマンスを見せろ」と人々に要求するのだが、能力を「裏口」で調達すると、それが自分を滅ぼす元になる。


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