2017-10-26

雇用を削減するイノベーションは、次に銀行員を無職にする


インターネット・テクノロジーとスマートフォンの普及は、社会の光景をどんどん変えている。現実社会でデジタルに置き換えられるものは、すべてデジタル化して既存の「アナログ業界」を破壊して回っている。

インターネットは「CD媒体で音楽を聞く」というスタイルを崩壊させた。また、インターネットの回線が速く太くなることで、今度は「DVDで映画を観る」というスタイルを崩壊させようとしている。

CDやDVDの販売やレンタルで生きていた業界は軒並み淘汰されていき、もはやリアル店舗として生き残るのは不可能になりつつある。

また、インターネットは「紙媒体で本を読む」というスタイルも時代遅れにしようとしている。そのため、紙に依存していた新聞社も出版社も軒並み時代遅れの企業と化して大きなダメージを受けるようになっている。

デジタル化できるものはすべてデジタル化されていき、既存の業界は吹き飛び、そこで働いていた人たちは路頭に迷うことになる。

インターネットは凄まじく利便性の高いインフラだが、だからこそ既存の業界は、「置き換えられる」と生き残れないほどの壊滅的ダメージを受けるのだ。


紙で流通している最大の「時代遅れ」とは何か?


紙に印刷されて流通しているものは、すべてデジタルに置き換えられて紙媒体は消えていくと思って間違いない。もう紙の時代は終わっている。デジタルが紙の印刷物を駆逐する。

ところで、紙で流通している最大の「時代遅れ」がまだ残っていることに気付いている人はいるだろうか?

それは、紙幣である。

私たちは未だに「紙の紙幣」を持ち歩き、手渡しでやりとりしている。「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という法則の中で、紙幣は例外なのだろうか。

いや、紙幣もまた駆逐されていく「モノ」である。すでに、欧米や中国では紙幣は時代遅れのものとして扱われている。紙幣のやり取りはデジタルのやり取りに変わっているのだ。

欧米では早くからクレジットカードが普及していて、現金を持ち歩く習慣が消えつつあった。

そして現在、インターネットとスマートフォンの爆発的普及によって、クレジットカードという物体そのものもインターネットの中に取り入れられた。もうスマートフォンのみで購買ができるようになったのだ。

たとえば、アップルは「アップル・ペイ」という技術でユーザーが持っている多数のカードをスマートフォンの中で仮想的に表示して、スマートフォンの中で好きなカードを選びながら電子決済が簡単にできる仕組みを作り上げている。署名する必要も暗証番号を入力する必要もない。

紙幣はクレジットカードに飲まれ、クレジットカードはスマートフォンの電子決済に飲まれていく。

「スマートフォンをかざすだけで買い物ができる」というスタイルは、紙幣や小銭をレジの前で数えながら手渡しして、店員もそれを数えて確認する作業を完全に凌駕する。

こうしたスタイルが、普及にどれくらいの時間がかかるのかは分からない。

しかし、インターネットがCDやDVDや新聞や出版物を駆逐したように、いずれは紙幣をも駆逐するようになっていくのは必然である。

日本人はことさら紙幣と小銭にこだわる民族性があるのだが、それでも日本人も時代の変化に抗えなくなる。

そう遠くない将来にスマートフォンが紙幣やクレジットカードの決済機能を飲み込んでいくのは約束された将来である。「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」のである。

フィンテックが金融の分野にも広く深く入り込む


紙と言えば「切符」も紙媒体だが、これは近年SuicaやPASMOに置き換えられつつあった。それが今度はSuicaがスマートフォンに取り込まれていくスタイルに転換しつつある。

アップルは、イギリスではアップルペイに登録されているクレジットカードでそのまま地下鉄に乗れるようにしているのだが、日本ではSuicaのような電子マネーを通して乗れるようにしている。

方法論は違うのだが、こうした各国の事情をアップルのようなテクノロジー企業がきちんと押さえて根幹部分を飲み込んでいるということに気付かなければならない。

テクノロジー企業は金融部分をもテクノロジーで変えようとしており、こうした動きは「フィンテック」と総称されて広がっていこうとしている。

フィンテックとは金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語である。

フィンテックはその技術でインターネット決済が楽になるような部分が強調されている。

しかし、この技術は決済の利便性だけでなく、最終的に紙幣や小銭と言った「アナログ」を駆逐する可能性があるというのはあまり強調されていない。

「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という法則に基づいて、紙幣や小銭はすべてデジタルに置き換えられていく。そして、最終的には紙幣や小銭を時代遅れのものにしてしまう。

もちろん、今でも時代に取り残された人がCDやDVDを買ったり、紙の新聞や書籍にこだわったりしているように、デジタル化の動きに取り残されてしまう人が一定数いる。

アナログは常に完全に駆逐されるわけではない。小さな領域で生き残る。紙幣や小銭も完全に消え去るわけではなく、デジタル機器を使えない人たちのために生き残る。

しかし、時代の趨勢はもはやそこにない。

フィンテックが時代を席巻し、金融の分野にも広く深く入り込んでいく。フィンテックが確実に広がる理由は、そこに圧倒的な利便性と効率化があるからだ。

世の中は便利になるのだが、仕事は消える


買い物がすべてフィンテックに置き換えられると、レジで並ぶ時間も紙幣や小銭をやり取りする時間も劇的に早くなる。

それはユーザーにとっては並んでイライラする時間がなくなるということであり、店にとってはコストが削減できるということである。

さらに正確な売上がリアルタイムで把握できるようになるので、経営者に必須のものとなる。また、金勘定の人員もいらなくなるのでここでもコスト削減が進められる。

紙幣や小銭を数える人員が要らなくなるというのは、圧倒的なコスト削減とスピードの迅速化につながるので、フィンテックは銀行の経営者が求めるものでもある。

しかし、経営が効率化するというのは、銀行員がまとめて要らなくなるということなので、金融業界はリストラが吹き荒れる業界になる。

すでに、その兆候は出て来ている。

2017年10月11日、三菱東京UFJ銀行の三毛兼承頭取は、「ロボットなどデジタル技術を使い、全体で9500人分に相当する業務をシステム化したい」とインタビューで述べている。

なぜか。「スマートフォンなどを通じた取引が増える一方で、訪れる人は減っている」からである。決済がスマートフォン経由になることで店舗も人員も要らなくなっているのだ。

当然だが、この動きは三菱東京UFJ銀行だけでなく、すべての銀行で起きるわけで、そうならば銀行員がそれぞれの企業で数千人規模でリストラされ、以後は雇われなくなっていくのである。

金融業界で起きている新しい波が職場を奪っていくというのは、別に遠い過去の話ではない。

こうした流れはいったん現場に取り入れられて効果があると分かったら、急激に導入が進んで人員削減が現実のものとなっていく。

次に雇用を削減するイノベーションが次に炸裂するのは、間違いなく金融の分野である。ゆえに銀行員は、自分たちの仕事がなくなることを今から覚悟しておかなければならない。

世の中は便利になるのだが、時代遅れの分野にある仕事は確実に消える。それが、「今」起きていることだ。



雇用を削減するイノベーションが次に炸裂するのは、金融の分野である。ゆえに銀行員は、自分たちの仕事をなくなることを今から覚悟しておかなければならない。


お願い

ダークネスの本文を他サイト(キュレーションメディア、まとめサイト、個人サイトすべて)へ転載する行為は、いかなる理由があっても固くお断りします。