2018-04-13

「あなたが生まれてきたのは税金を払うためだ」という世界


2018年4月11日、財務相の諮問機関である財政制度等審議会は公的年金の支給開始年齢を68歳に引き上げ、医療や介護サービスの利用者負担を増やす議論を開始している。

公的年金の支給は2013年から段階的に60歳から65歳に引き上げられたばかりなのだが、そこからもう68歳に引き上げたいと言い出しているのである。

なぜか。日本は少子高齢化で社会保障費が膨らむだけ膨らんでいるからだ。

少子高齢化は日本社会を蝕む最大の問題だ。(ダークネス:高齢者の地獄は、止まらない高齢化と共に確実に日本を蝕む

日本はこのまま少子高齢化を放置していると国家存続の危機に陥るのだ。(ダークネス:日本の国家存続の危機が起きているのに危機感がない日本人

にもかかわらず、日本政府も日本国民も今もなおこの問題に向き合っていないし、人口が減ったら何が起きるのかも考えないで「日本人は少しくらい減ってもいい」と無責任極まりないことを放言する人間もいるのだから呆れる。

だから、いよいよ少子高齢化を放置したツケが回っている。公的年金の支給開始年齢の引き上げもそのツケのひとつであることに気付かなければならない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

税金もどんどん上がっていくのも覚悟せよ


これから起きるのはそれだけではない。当たり前の話だが、財源が枯渇しつつある以上、税金もどんどん上がっていく。少子高齢化を放置して何も思わないでいたのだから、起こるべき事態が起きているということだ。

2014年4月1日。消費税は8%に引き上げられた。しかし、もちろんこれで終わりではない。安倍政権は消費税10%を何とか阻止したが、ポスト安倍の時代になると消費税は遅かれ早かれ引き上げられる。

しかも消費増税は10%で終わりではない。今後は15%、20%と上げることさえも検討されているし、実際にそのようになっていくのは既定路線だ。

なぜなら、借入金、政府短期証券を含む「日本全体の債務残高」は総額で1070兆円を超えており、数%の消費税のアップどころでは追いつかないレベルにあるからである。

「日本の借金は1000兆円でも破綻しない」とか「いくら借金が増えても問題ない」と言っている人間もいる。

しかし、国の借金が膨らんだ結果、国民から税金を毟り取り、支給年齢をどんどん引き上げて払うべき年金を払わないでツケを国民に押しつけてきているではないか。

そのような事態が起きているのに「国の借金が1000兆円超えても問題ない」と言うのは現状認識ができていないと言われても仕方がない。問題ないどころか「もう問題が発生している」のである。

そのため日本政府や官僚は社会保障費を何とか削減し、国民が稼いだ金を毟り取れるだけ毟り取るしかないと考えている。

その結果として公的年金の支給年齢が引き上げられ、医療費の自己負担も増え、税金は次々と上がっていくという結果となっている。

それでも少子高齢化は放置され続けている。それならば、年金の支給年齢は引き上げられ、額は減らされ、各種税金は苛烈になっていくのを私たちは受け入れなければならない。

死んでも税金を取ってやるという政府の決意


政府は新しい税金の導入も検討している。2016年の社会保障制度改革国民会議で、東京大学の伊藤元重教授が、新しい税金を提案していた。

それは「死亡消費税」というものだった。

これはどういうものなのか。簡単に言えば次のようなものであると言える。「消費しないで貯め込んだ人間がいたら、死んだときにまとめて消費税を請求する」

高齢者が若年層のように消費しないのは、無節操に消費して、まだ寿命があるのに金がなくなったら目も当てられないと考えているからである。

だから、いくら高齢者に金を遣えと命令しても、高齢者は絶対に金を遣わない。だから、政府は高齢者に遣わせることをあきらめて、死んだ人間の貯金から金を取ることを検討している。

他にも「貯蓄税」というものも検討されている。貯め込んでいる人間から預金残高に乗じて税金を課すというものだ。定期預金の金利は0.01%だとかそんな時代に、貯蓄税という名目で税金を取るというのだからどうかしている。

「絶対に、毟り取ってやる……」という国の執念がここから透けて見えるようだ。年金は払わないが、税金は何が何でも毟り取る気でいる。

こんな調子だから日本人は死ぬまで働かされるのは言うまでもない。実際、政府はそのつもりでいる。たとえば「65歳定年制」もそのひとつだ。

「高齢者がいきいきと働ける社会の実現」と政府は言うが、こんなものは方便である。

政府は年金の受給開始年を65歳にした。そうすると、60歳退職では暮らしていけない人間が続出して今度は生活保護受給者が増えてしまう。

だから、政府は企業に65歳までの人間を押しつけて、無理やり働かせることにさせたのだ。もちろん、企業も高齢者を無理やり「押しつけられる」わけなので、企業は再雇用制度を取って防衛している。

再雇用制度とは、55歳や60歳にいったん会社を辞めてもらって嘱託扱いの雇用契約を結ぶことだ。その際は、給料が激減するのが普通である。

ありとあらゆる方策で財産は奪い取られていく


今は「65歳定年制」の提唱だが、それが定着したら今度は「70歳定年制」になるのは目に見えている。年金支給開始年齢を68歳から70歳に引き上げになったりすると、70歳まで働かせようと考えるのは政府にとっては当然のことだ。

国民を死ぬまで働かせて、税金をどんどん毟り取る。年金の受給を極限まで遅らせ、貯め込んだ金からも税金を取る。それが政府の方向性だ。

「もう年金を払う金もないから国民は死ぬまで働け。死んだら死んだで税金を取る」

この流れは決して止まることはない。政権交代しようが、誰が何を吠えようが状況は変わらない。少子高齢化で社会保障費が増大しているのだから、もう背に腹はかえられないところにまできている。

何度も言うが、少子高齢化を放置したせいでこのようになっている。「日本の人口は減った方がいい」と無責任なことを言っていた馬鹿な人間どものせいでこんなことになっている。

「日本の財政は1000兆円超えようが問題ない」と言っていた頭のおかしい評論家どものせいでこんなことになっている。

少子高齢化社会になれば何が起きるのか分かっていたのに、子供を増やす政策や社会を作り上げなかった政府のせいでこんなことになっている。

日本から人が減って社会保障費は膨れあがるのだから、重税路線が緩和されることはあり得ない。税金はこれからもさらに膨れあがっていく。国民の限界までありとあらゆる方策で財産は奪い取られていく。

こういった政府の方策から逃れる方法はほとんどないので、私たちはこれから重税にあえぎながら生きていかなければならないということになる。

若者はいつの時代でも「自分の生まれてきた理由はなぜか。人生の目的は何か」と悩む。しかし、これからはもう悩まなくてもいい。

政府に聞けば「あなたが生まれてきたのは、税金を払うためだ」と簡潔な答えを教えてくれる。(written by 鈴木傾城)

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若者はいつの時代でも「自分の生まれてきた理由はなぜか。人生の目的は何か」と悩む。しかし、これからはもう悩まなくてもいい。政府に聞けば「あなたが生まれてきたのは、税金を払うためだ」と簡潔な答えを教えてくれる。

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